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歌詞

やなせなな 歌詞「蜜柑」

なつかしいあの家を
あなたはもう 思い出せない
ただ 裏庭の蜜柑の木を
見上げて ほほ笑むだけ

遠くふるさとから吹く風は
あの日の海の匂いがする
忘れたはずの古い歌を
あなたは突然歌い出した

潔く地図を捨てた人々に
「帰っておいで」と手招きする
風に揺れている緑の葉に
あなたは何を語りかけてるの?

大切なこの家も
あなたはもう 思い出せない
ただ わたしが差し出す蜜柑を
噛み締めて頷くだけ

戸惑いと 深い悲しみの中に
取り残されたわたしを
困った顔で振り返る
けれど あなたはたったひとりで
軽やかに歩き出すために
長い旅の支度を始めた

いとおしいわたしの名も
あなたはもう 思い出せない
このてのひらを握り締めて
やさしくほほ笑むけれど

大切なその全てに
あなたはさよならも告げずに
ただ 刻まれた遠い日々に
静かに瞳を閉じた

なつかしいあの家を 
あなたはもう―

ただ
裏庭の蜜柑の木を見上げて 
ほほ笑むだけ

作詞:やなせなな

アルバム『あいのうた』(2005年)収録

©Studio Tabby
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